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親子の視点から見る家庭力学 [親子論]

完全に満たされる親子関係はない。
子は親に多かれ少なかれ満たされない思いを抱く。
親は子供の要求を多かれ少なかれ負担に感じる。

子供の視点から見た親子関係:
親はわかってくれない。
親は、自分の都合ばかりを押しつける。

親の視点から見た親子関係:
子供は、親の都合を考えてくれない。
子供は、要求ばかりする。

親子関係は、子供の視点から見るか、親の視点から見るかで違ってくる。
これはどちらが正しくて、どちらが間違えているかという問題ではない。
一つの物事をどういう角度から見るかという違いに過ぎない。

親子の双方が自分が正しくて、相手が間違えていると思うと、
お互いに避難の応酬の対立関係になる。

対立関係
子供:子供が正しく、親が悪い。
親 :親が正しく、子供が悪い。

これは反抗期などにありがちなパターンである。
まあ、それなりに健全な親子関係といえるだろう。

思春期を乗り越えて、親離れ子離れができたると、
親子は対等になり、大人の協調関係を築ける。

協調関係
子供:子供も正しい、親も正しい。
親 :親も正しい、子供も正しい。


健全な人間関係を築くためには、お互いの立場を理解する必要がある。
自分の視点を保持した上で、相手の視点で物事を見るのだ。
このレベルの人間関係を築ける親子のなんと少ないことか。

非健全は親子関係としては、支配関係と、欺瞞関係がある。

支配関係
子供:親が正しく、子供が悪い。
親 :親が正しく、子供が悪い。


親が子供を罪悪感で縛れば、簡単に自分の意見を子供に刷り込める。
親が愚痴ったり、惨めな演技をすれば、
子供は、親に要求をすることは、悪いことだと信じ込む。
親に対して何らかの不満がわいても、
親を責める代わりに不満を抱く自分を責めてしまうようになる。
子供は自分の視点を捨てて、親に迎合するのである。
これが支配関係だ。
子供が自分の視点を放棄している点が、協調関係とは根本的に違う。

この家庭では、摩擦が起こらないので、
外からは、仲が良く、お互いが理解し合っているように見える。
そして、自分たちも、仲良し親子だと固く信じている。
しかし、子供は親を理解・共感しているのではなく、自分を捨てているだけだ。
支配された子供は、親が自分に何を望むかはわかっても、
自分が何をやりたいかがわからなくなる。
支配関係で育った人間は、他人から認めてもらわない限り生の実感がもてない。
それが、自分を捨てることの代償だ。

支配家族の恐ろしいところは、子供の心の中で親が独裁者として君臨することだ。
文字通り、24時間、監視されているも同然なのだ。
この支配の鎖は、たとえ親が死んでも解かれることはない。
支配された子供は、親から離れると、空っぽになる。
なぜなら、自分の視点はすっかり枯れていて、心の中に親に代わるものが無いからだ。

欺瞞関係
子供:子供が正しく、親が悪いと思いつつ、親に迎合。
親 :親が正しく、子供が悪い。


俺の場合は、両親への憎しみを意識しつつも、服従してきた。
行動的には、支配関係と違わないのだけど、
自分の心の主体性は何とか保たれる。
その代償として、自尊心が低下し、
感情を抑圧するのに多量のエネルギーを使う。

両親が自分の弱さで子供を縛ろうとした場合、
子供は親に思い切り、ぶつかれない。
対立関係が築けないので、協調関係も築けない。
家庭を保つためには、親の価値観に逆らうことはできない。
そこで、選択肢は、支配関係か欺瞞関係しかない。
どちらも、茨の道だ。


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コメント 3

toro

親はその演技をどこで覚えてきたのかな~なんて、妄想してしまいます(笑) 子どもをコントロールするために演技をしなくちゃいけないなんて、ご苦労なことですなあ、と思うのに。とはいえ、無意識の演技なわけだから処置なし、ですよねえ。先祖代々の教えにしたってね(^^;
コントロールする・される関係でいなくてはいけないと考えると切ないです。
…ともあれ、自分がない証拠なのだと思いますが。
by toro (2005-08-30 09:30) 

katuo

>親はその演技をどこで覚えてきたのかな~
最初はけがの功名だったと思います。
うちの母は愚痴っぽいので、
子供だけに愚痴っているわけではないです。
ただ、子供に愚痴ったところ、凄く効果的だったから、
上手く使っているんだろうね。

>無意識の演技なわけだから処置なし
完全に無意識でもないと思う。
やましい気持ちがあって、それをごまかすために、
子供が悪いと理由付けをしているようにみえる。

>…ともあれ、自分がない証拠なのだと思いますが。
その通り。
自我が確立された人間は、他人の自我も無視できない。
by katuo (2005-08-31 01:01) 

osaru

ずっと母親の毒にあてられている者です。
こちらは、心の中でもやもやしていたものがすっきり文章になっていて、なるほどと感心させられます。
現在、私は母からの手紙も読みませんし電話も出ません。母は私がどうしても思い通りにならないと悟って、最近は弱さで陥落させようとしています。いわく、目が見えなくて困り果てている、腰がいたい、お嫁さんがいじめるの・・・
でも屈しません。
私の「やさしさ」をさんざん利用してきた人ですから。「昔のあなたに戻って欲しい」なんて言葉がちらっと葉書に見えたこともありますが、よくいえたものです。言葉を変えれば「何でもいうことをきく奴隷に戻りなさい」ってことなんですよね。
by osaru (2007-01-04 16:11) 

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