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無私の母親という呪い [親子論]

無私の母親は、「無私でなくてはならない」というルールの奴隷であり、
無私であるべきという強迫観念に支配されたロボットである。
無私の母親の愛情は、ロボットのサービスであり、
血の通った人間としての愛情ではない。
このような母親は子供を愛していない。
無私であるべきという強制力に「いやいや」従っていて、内心では納得していない。
だから、無私の母親の内面は苦渋と不満に満ちている。
自分の人生を犠牲にした子供への憎しみで満ちている。
しかし、良き母であるべしという強迫観念に抑圧されて、子供への憎しみを認めようとはしない。
内面のやましさ故に、子供への愛情を大げさにしつこくアピールする。

無私の母はフォーマットにこだわる。
子供の気持ちよりも、むしろ、良い母のフォーマットにこだわる。
自分が愛情豊かな母親だと他人に認めてもらうことが重要なのだ。
無私の母親は、子供のためという大義名分があれば、
どんな非人道的なことでも子供に押しつけることができる。
心のつながりなど無いのだから、子供の心の痛みを感じることはない。
子供が痛みを訴えても、母親の愛情に対して痛みを感じる子供の心に問題があると考えて、
子供の罪悪感を刺激して、子供の感じ方を変えようとする。
自分は良い母である以上、悪いのは必ず子供の側でなくてはならないのだ。
親子関係が思い通りにならなかったら、子供の側が変わらなければならない。

無私の母は、自らの人生と子供の心を対価として「立派なお母さん」という評価を得るだろう。
その評価こそが、無私の母の人生における唯一の勲章なのだ。
しかし、勲章によって、無私の母親の心が満たされることはない。
それは、ロボットである無私の母の心が空っぽだからではある。
しかし、本人はそのことを認めずに、外部のせいにする。
「私は正しいことをしている。それなのに満たされないのは、夫と子供が悪い」
無私の母の心の中は、家族への不満や怨嗟に満ちている。

無私なる母のなれの果ては、内に怨念をため込んだロボットなのだ。
そして、内なる怨念は、ふとした瞬間に顔の表情に出てしまう。
本人は笑っているつもりでも、それは筋肉の運動にすぎない。
冷静な観察者は、笑顔の裏に恐ろしい般若の表情を見て取ることができる。

無私の母であるべしという強迫観念は、子供と自分を確実に不幸にする呪いである。
家庭にとって、無私の母親ほどの害悪はないだろう。


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コメント 2

無私の母親を持った子

katouさん、はじめまして。
ある方からこちらを教えていただきました。
かなりタイミングがずれてしまったコメントになりますが、どうしても書かずにいられない思いに駆り立てられコメントさせていただきました。

涙がとめどなく流れ、思い切り泣きました。
そしてスッキリしました。
私が悪いのではなかったと心が軽くなりました。

いままで母親との関係が、他の一般的な方々とは何か違うと感じて生きてきました。
母親から抱いてもらったことも、褒めてもらったことも記憶にありません。
ただただ世間体に恥じない子であれと言われ続け、母親の機嫌の良い顔でしか精神的な落ち着きを得られなかった子供です。

母親の顔色だけが私の生活すべてのバロメーターであり、一生懸命頑張りました。
頑張りすぎて、いまは抜け殻です。
こうなってしまった子供に対し、母親は考えられないほど冷酷です。
それまで自慢の子であり、どこにでも引っ張りでしては鼻高々に周囲に自慢げに誇示していた子供が、心を病んだ途端精神疾患だと世間に吹聴するようになりました。

今、80歳半ばになった母は相変わらず子供が悪いのだと周囲に言い続け、自分の身を守ることに躍起になっています。
「あんなにしてやったのに・苦労して育てたのに・育て方に間違いはなかったのに」
そして、私が良い訳や弁解を全くしないのをいいことに、世間からは相変わらず良妻賢母の賞賛を得て自己安定しています。
本当の愛情を得られなかった子供が、どんな苦しみを背負って生きてきたかなどへの思いは全く及んでいないのです。

多分彼女は、世の子供だれもが母親を思う気持を理解できないまで一生を終えるのだろうと思います。
自分の子供が生きづらさに苦しんでいたことを知らないまま、世間からの賞賛を冥土の土産に、旅立つのでしょう。

だから私は母親と断絶していても、罪悪感は感じません。
真実はたった一つ…子供はどんな冷酷無情な母親であろうとも、母を信じ慕い、甘えたい恋しいと思う時期があったということです。
by 無私の母親を持った子 (2008-02-06 15:10) 

Kay

素晴らしい洞察力ですね。同感です。
by Kay (2009-09-07 23:02) 

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